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ザ・スーパー・ポップ宣言

CAFE APRES-MIDI ベスト10

CAFE APRES-MIDI ベスト10

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CAFE APRES-MIDI ベスト10

Cafe Apres-midi AZUR.jpgCafe Apres-midi ROUGE.jpg

フリーソウル・シリーズで有名な橋本徹氏監修のコンピ「カフェ・アプレミディ」シリーズ。ボサノヴァ、ジャズ、ソフトロック、シンガー・ソングライター、AOR、フレンチ、ラテン、サントラなどなど多彩なジャンルから「午後のコーヒー的なシアワセ」をコンセプトに作られ、2000年に始まって既に18年経過しましたが、カフェ・ミュージックという音楽的に曖昧なジャンルのせいか、あまりマニアックな音楽ファンには評価されなかった気がします。然しながら、単なるブームで終わらすには勿体ないような素晴らしい音楽が多数紹介されており、基本的に「コンピに収録されているような有名な曲は取り上げない」方針で運営している当ブログですが、ここでは同コンピ収録曲から個人的に素晴らしいと感じた、世間的には隠れた名曲の数々を紹介していきたいと思います。


【 ポップ偏差値 75

JIMMY CASTOR / HOW BEAUTIFUL YOU ARE '67 「HEY LEROY」収録



U.S.Black Disc Guide #165でも取り上げられているサックス奏者のジミー・キャスターの1967年の1stアルバム収録曲。U.S.BDGのファンクの項で取り上げられていることからも分かるが基本的にR&B/ファンクの分野で活躍した人。然しながらこの1stは意外にもブーガルーやラテン・ジャズが中心の内容になっている。「HEY LEROY」等ちょっとラテンがかった泥臭い曲の中に混じって将に「掃き溜めに鶴」状態で収録されているのがこの曲。

基本はピアノを主体としたスピード感のあるスマートなジャズ系のインスト曲。軽めのラテン系のリズムはグルーヴィでしっかりと黒いが、実に洗練された華麗な雰囲気をも併せ持つ。そして、ちょっと哀愁がかった甘みの有るメロディに冷やかなヴァイブとピアノの掛け合いが絶妙。私が初めてこの曲を聴いた時、全体として感じられる品の良さと完成度の高さから、「きっと著名なジャズグループが往年の古典的名曲を焼き直したのだろう」と思ったんだけど、まさか音楽シーン的にはファンクシーンでちょっと活躍した程度の人物による作品だったとは!しかも、曲はれっきとした彼のオリジナル曲なんですよね。これ、歌詞つけた曲にしたらヒットするんじゃないですかねえ。将に埋もれていた奇跡の1曲という感じです。コンピ収録に感謝!

「YOU TUBE」で聴けます。

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(ヴァイブ)ポップ偏差値合計
7899910108575


【 ポップ偏差値 72

WALTER WANDERLEY / TRISTEZA '80 「Brazil's Greatest Hits!」,「CAFE APRES-MIDI SAFRAN」



ブラジルの有名なオルガン奏者、ワルター・ワンダレイの80年のアルバム「Brazil's Greatest Hits!」収録曲。Astrud Gilbertoとの66年の共演作 「Goodbye Sadness (Tristeza)」は超有名なボサノバ人気曲ですが、その再カバーとなります。「なんだ、あの曲か」と思った方、ちょっとお待ち下さい。66年版自体、甘く爽やかなメロディに冷ややかなオルガンが鳴り響くボサノバの超名曲ですが、この80年のソロ版はまた全く別の表情を見せています。

基本はインスト・サウンドで軽快なラテン・ジャズという趣き。ぐっとスピードアップさせリズムはかなりグルーヴィー。特筆すべきはハイハットが跳ねまわる躍動感いっぱいのドラムの演奏。高音部からバスドラムの低音域までステレオ感満載の奥行きのある演奏は臨場感抜群。ジャズ系生ドラムの魅力を十二分に堪能できる録音ですね。(個人的に自宅の大型スピーカー(JBL4344)の鳴りを楽しみたい時に真っ先に聴くのがこの曲。)ここでドラムを演奏しているのはLuis Peraltaという人なんだけど、どうやら無名のスタジオミュージシャンみたいです。もちろんワルターのオルガンも素晴らしいけど、彼のドラムスに主役を奪われてしまった感がありますね。こういう躍動感溢れるグルーヴィーなドラムを堪能できる曲って他に無いですかねえ?因みにこれまで当ブログで言及したことは無かったけど、ワルター・ワンダレイは私の大好きな演奏家の一人です。

Spotifyで聴くことが出来ます。「Brazil's Greatest Hits!」収録の2分2秒と短いインスト曲ですのでお間違えのない様に。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(優雅で上品)ポップ偏差値合計
888889108572


【 ポップ偏差値 69

LES MCCANN LTD. / ALL '67 「Bucket O' Grease」



60~70年代中心にジャズ/ソウル界隈で活躍したピアニスト、レスマッキャンの1967年のアルバム収録曲。曲は1966年のイタリア映画「Run For Your Wife」のテーマ曲のインスト・カバー。アルバム自体はラテン・ジャズといった趣ですが、この曲はイージーリスニング系のラウンジ風仕上がり。オリジナルはゆったりとした甘く切ないバラードといった感じだけど、レスマッキャン版はスピードアップ。ラテン系のグルーヴィーなリズムに品の良いピアノを主体とし、優雅なストリングスやホーンが絡む内容は原曲の情緒さを損なわず、より上品で洗練された内容に。物静かなイントロから徐々に盛り上がっていく構成にも妙味のある素晴らしい曲です。

「YOU TUBE」で聴けます。(14分39秒から)
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(優雅で上品)ポップ偏差値合計
6788810107569


この曲にはもっと多くの優れたカバーが有るに違いないと思いsecondhandsongsで検索してみたんだけどヒット無し。一応自分なりに調べた結果を挙げておきます。

FRANKIE RANDALL / ALL(オリジナル) 1曲目

Nino Oliviero Orchestra / All (Theme From "Run For Your Wife") (Instrumental)(オリジナルのインスト版) 2曲目(2分12秒から)

Gordon MacRae / ALL '66

JAMES DARREN / ALL '66(音壁仕様)

Charlie Fox / All '66

Nino Oliviero And His Orchestra / All(オリジナル作曲家によるポップなセルフカバー)

Skitch Henderson His Piano and Orchestra / All '68(スピード感あり)

Tony Mottola / All '67(ラテン・ギター)

Franck Pourcel / All(イージーリスニング)

Milton Delugg and The Tonight Show Big Band / All '67

他にもご存じの方、教えて下さい。

【 ポップ偏差値 68

EDDIE CANO & HIS QUINTET / I CAN'T CRY ANYMORE '67 「BROUGHT BACK LIVE FROM P.J.'S」



メキシコ系アメリカ人でジャズ系のセッション・ピアノ・ミュージシャンだったエディ・カノが67年に発表したクラブでのライヴアルバム収録曲。レス・バクスターやマーティン・デニーのセッションに参加するなどジャズといってもちょっと亜流の系統で活躍した人みたいです。このアルバムもパーカッション、コンガを含んだ構成で臨んだラテン・ジャズといった趣き。

曲はエディ・カノの自作のインスト曲。日本盤CDの帯では「哀愁メロディに魅了されるグルーヴィなボサ・ジャズ」と紹介されています。ピアノソロで始まるイントロこそ静かだけれど、全体としては激しいジャズで個人的にはどこにボサの要素があるのかこの辺の音に疎い私にはよく分かりませんが。ピアノに続いてベース、パーカッションと加わっていき徐々に盛り上がる導入部が痺れます。ラテンというと個人的には少々泥臭く変な癖のある味を感じることがあるんだけどこの曲は随分洗練されたモダンな雰囲気。良い意味でのラテンものの熱いグルーヴだけが抽出された感じが美味。哀愁メロディの良さもあるけれど、全体として感じるスピード感満載の息のあった素晴らしい演奏はライヴならではのものかも知れない。こうしたメロディ、スピード感、グルーヴを兼ね揃えたジャズ良曲をもっと知りたいんだけどどなたか教えてくれませんかねえ。

「YOU TUBE」で聴けます。

EDDIE CANOの作品では他にも
「Love Don't Turn Away」
「Ican」
「Bernie's Tune」
「I'LL NEVER FORGET YOU」
「DAVID TRONCOSO FT. EDDIE CANO / BELIEVE THE LOVE」
辺りが同傾向で良い感じです。

明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディ器楽瑞々しさボーナス(ラテングルーヴ)ポップ偏差値合計
787987107568


Les Baxter Orchestra And Chorus / Girl From Uganda '69 「African Blue」



エキゾチック・サウンドの代表的音楽家レス・バクスターの69年のインスト曲。アルバム「African Blue(The Exotic Rhythms Of Les Baxter Orchestra And Chorus)」収録。(CAFE APRES-MIDIコンピではSAFRAN収録)エキゾチック(異国情緒)とは言っても実際は西洋人視点の東洋や中南米音楽といった感じですね。この曲のウガンダというのは東アフリカに位置する国ということだけど、特にアフリカを感じさせる内容ではないかな。ちょうどジャケ写の女性あたりをイメージした曲なのかもしれません。

サウンドとしては、洗練されたラテン・ジャズ/ボサノバといった感じで甘いメロディに細かくリズミカルに刻まれるハイハットの音色が心地よい。柔らかな女性スキャットに冷やかなフルート、可愛らしいヴァイブや控えめなピアノなど構成される様々な音が効果的に配置されている感じで完成度は高い。そして何よりも思慮深さを感じさせるメロディが素晴らしい。ブライアン・イーノを彷彿させる、どこか達観したような大人のメロディ。実際この曲は彼が47歳の時の作品で、成熟した人物だからこそ作れたメロディであろうと感じます。という訳で個人的にはエキゾチックというよりも、そのサウンドの完成度の高さとメロディの達観性に価値を感じています。

「YOU TUBE」で聴けます。

【 ポップ偏差値 67

Gimmicks / COCO-LOCO SAMBA '70 「In Acapulco」



1960年代後半から1970年代中期に渡って活躍したスウェーデンの7人組バンドの1971年のアルバム「In Acapulco」収録曲。(Cafe Apres-midiコンピでは「Lilas」に収録)同アルバムにはWaveやMas Que Nadaといったブラジルの名曲カバーが収録されていますが、このココロコ・サンバも曲名通りブラジルのサンバを狙った曲。作詞作曲にあるBernt Egerbladというのはスウェーデンのピアニストで、A.Strandellというのはギミックスの女性メンバーのANITA STRANDELLのことのようなので彼らのオリジナル曲の模様。要は北欧の白人がブラジルのサンバを実現させたことになりますが、白人とは思えないほどグルーヴィでいいですね。メロディも明るく爽やかで出来が良く、すこし憂いを帯びたメロディはSamba De Orfeu辺りに通じる品の良さも感じさせます。テンポの速いスキャット中心の曲ということで仕上がりも実に瑞々しくポップ&キャッチー。ココロコというタイトルが気になって調べてみたんですが、いろいろんな言語で使われていて意味も複数あり特定出来ませんでした。「頭がおかしい」という意味っぽい気もしますが、曲調と合わないですよね。歌詞をしっかり聞き取れば分かるのかも知れません。

「YOU TUBE」で聴けます。
明るく元気テンション高揚感疾走感グルーヴメロディサウンド瑞々しさボーナス(スキャット)ポップ偏差値合計
77888987567


【 ポップ偏差値 63

Gal Costa & Caetano Veloso / Que Pena (Ela Já Não Gosta De Mim) '69



ブラジルの女性歌手ガル・コスタの1969年のアルバム「Gal Costa」収録曲。同じブラジルの歌手カエターノ・ヴェローゾとのデュエット曲でボサノバ仕様。「CAFE APRES-MIDI OLIVE」に収録されている。因みにタイトルは自動翻訳では「残念なことに、彼女はもう私の好きではありません」とでます。当ブログでボサノバを取り上げるのは珍しいけど、ボサノバといえばお洒落なカフェでBGMに流れていると心地いいという、良く言えばあっさりとした、悪く言えば引っ掛かりの無い曲が多い印象。そんな中でもマシュ・ケ・ナダで有名なジョルジ・ベンが作った本曲は聴きごたえのある、しっかりとしたメロディが秀逸。ガルの透明感のある歌声のバックで心地よく響くアコギやドラムの軽やかさ、ストリングスの優雅さなどにより、清涼感となだらかで味わい深いメロディが共存した良質のボサノバが実現している。

「YOU TUBE」で聴けます。ライヴの様子も見れますよ。


続きます。


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